なぜブラック企業が存在するのか
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日本と日本人を蝕むブラック企業の存在。
働き方改革が叫ばれている中でも、ブラック企業が減る気配はまだまだです。
ブラック企業が存在する理由、ブラック企業が生まれる理由はいろいろなところで言及されています。
(本題は下にあるのでそこまで読んでね。)
ブラック企業は終身雇用が原因?
日本の終身雇用がブラック企業を生む原因と考える方がいます。
そもそも終身雇用を保証出来ている会社なんて一部の大企業だけでしょう?
法例ってたとえば中小企業に「おまえんとこは終身雇用っぽくないから残業上限は月50時間な?」とかなってましたっけ?中小企業に「おまえんとこは終身雇用じゃないっぽいから、解雇してもいいけどするときは半年分の基本給払えな」とか金銭解雇ルールありましたっけ?ないですね。大企業と同じルールが適用されます。終身雇用そのものは無くても、同じルールを適用されてるわけです。こういうのを「やらずぼったくり」と言います。
http://agora-web.jp/archives/2028972.html
確かに終身雇用、または名ばかりの終身雇用という空気がある会社で、それを盾に社員に有無を言わせず働かせる、残業をさせているという実態はあると思います。
雇用の保証を与える代わりに、生活を犠牲にさせる「滅私奉公」が労使ともに当たり前の空気が、なんでも言うことを聞かせる、なんでも言うことを聞かなければならないという半ば奴隷のような状態を生んでいると思います。
しかし、たとえ終身雇用や終身雇用の空気であっても、一部のではブラックになっていない企業も存在することは確かです。
あの「未来工業」は”究極のホワイト企業”なのか? そして入社するには?
この未来工業、「日本一社員が幸せな会社」として、とても有名なところです。
なにしろ完全年功序列制、従業員800人は全員正社員、さらに年間休日140日プラス有給休暇40日で、残業まで禁止。これで創業以来ずっと黒字だというのですから、どんなところなのか見てみたいではないですか。
ブラック企業は労働生産性が低いことが原因?
社員の生産性を2倍にするために集中力を2倍にさせる」 とある企業のトンデモ方針が話題に
引用:https://news.careerconnection.jp/?p=28214
こちらも、労働生産性が低いところがブラック企業と化しているということは確かだと思います。楽をすることは間違っている。とにかく頑張れ、120%頑張れという経営者がいる会社はブラック企業でしょう。
なぜ労働生産性が低いままか。ただただ経営者の能力というと、問題点が曖昧になってしまいます。
ブラック企業は減点主義である
ここからが本題です。
ブラック企業と呼ばれるは総じて減点主義で成り立っています。
終身雇用がブラック企業の原因とする場合、終身雇用でなくてもブラック企業は存在します。
日本国 :「忙しい!みんなで徹夜だ!」→「暇になったから定時で帰ろう」
これも、現実は
「忙しい!みんなで徹夜だ!」→「暇になった、しかし暇と思われると減点される」→「暇でも残業しよう!」
減点主義だから、たとえ暇になっても、定時で帰れば「頑張っていない」とみなされ減点されます。
だから、暇であろうがなかろうが、残業しなければなりません。
そもそも仕事を効率化、生産性を上げてしまったら、暇で楽をしているとみなされ、評価がさがります。
これが、労働生産性が低いままで、無駄な業務が横行し、残業が増え、生活を犠牲にしている原因です。
組織の根底に減点主義があるので、たとえ効率化され生産性が上がっても、その分さらに他の仕事をしなければならなくなります。
労働生産性が低いまま→同じ業務を続けて残業しなればならない
労働生産性が高くなる→空いた時間を他の業務で埋めなければならない
根底に減点主義があれば、労働生産性の高低に関係なく、忙しく大変である振る舞いをしなければなりません。
さらに経営者が減点主義であるので、効率化ではなく忙しい振る舞いをしていなければ、評価されません。
効率化され労働生産性があがり定時内に業務がおわってしまうと、120%がんばっていることを示すことができなくなります。
これが、減点主義がブラック企業を生んでいる理由です。
減点主義が組織の上から下まで浸透している組織が、ブラック企業となるのです。
ブラック企業の見分け方
ブラック企業では、賃金のやすさ、残業の多さ、パワハラ、離職率などわかりやすい特徴が存在します。
ただ、外部からはなかなかすぐにはわかりません。
ここでは、会社見学などの際に気をつけるポイントをまとめました。
オフィス内が変に静かである。
減点主義の会社のオフィスは私語がなく静かです。これは、減点主義組織が相互監視を生んでいるからです。
スタッフ同士が相互に減点する、されるという関係性になっており、私語をしていたら暇だと思われる、さぼっていると思われるという考えがスタッフの無意識にあり、オフィスの静かさを生んでいます。
オフィスが変に静かである会社は要注意です。
会社見学ができる場合、まずはオフィスが静かかどうか、私語や雑談をしている人がいるかどうかをチェックしましょう。
常にイライラしているスタッフがいる
ブラック企業の組織では、忙しい振る舞いをしていなければ減点されてしまいます。
ゆえに、常に忙しくしていなければなりません。
業務効率化も進まず、煩雑な作業やむだな作業が横行しているので、イライラしている古株の社員が存在します。
そのイライラでほかスタッフを威圧していたりします。
イライラしている、イラつくという発言をする社員がいる会社は要注意です。
人前で厳しく注意しているスタッフがいる
ブラック企業、減点主義の組織は、人前でスタッフを罵倒し、罰を与えます。
これは、スタッフを罵倒することそのものが自身にプラスに働くからです。
彼は厳しく指導をしているという姿、人を厳しく減点しているという姿が、減点主義では良い姿とされます。
いわゆるパワハラです。
他者をきつく指摘する、きびしく罰を与えるという行為が、減点主義では良いこととされます。
ある経営者は「うちは自分を棚に上げてもいいから」いっていました。自分を棚に上げて誰かを指摘することは良いことである、と。
担当業務に関係のない仕事をするスタッフが多い
例えばデザイナー、技術者、エンジニアなどに、接客や電話応対などをさせる企業があります。
減点主義の組織では、職務範囲外の業務を当たり前として押し付けます。
それは常に減点対象を増やし、減点できるポイントを増やすためです。
職務範囲外のことも「義務」とすることで、労働生産性を落とし減点可能なものを生むことで、ブラックさが増すようになります。
会社見学の際には、担当業務以外もする義務はあるかどうか確認しましょう。
「誰かやってくれる人いますか」などと曖昧な依頼をする
適したスタッフに依頼するのではなく、新人などが自分から挙手させるような言い回しをする人が存在します。
「だれかやってくれる人」と言うことで、挙手しなかった場合に減点できます。
なぜ自ら挙手をしないのか、と。
「だれかやってくれる人」と言うことで、挙手した人に責任をすべて負わせることができます。
依頼した人間は、任命責任から逃れることができるためです。
「自分でやるといったんでしょ?」
すべて減点主義、ペナルティストとしてはそれが正しい振る舞いになっています。
指導や発言が「クイズ形式」である
減点主義の組織では、常に減点できる対象をさがしています。
バカバカしい話ですが、指導や発言でクイズを出す上司や経営者が存在します。
クイズを出すことで、それに答えられない→大した人ではない→減点できる
例えばOJTでレクチャーをする場合、一つひとつの手順を覚えているかどうか、質問攻めをする。
「こういう場合はどうするかわかりますか?」
このような個人を試すような振る舞いを奨励することで、チームワークを壊し、相互に監視、減点するような組織になり、いわゆるブラック企業になる原因となります。
ミーティングで発言を強制する
・何もしていないなら、ミーティングに参加する必要はない。
・ミーティングに参加するなら発言しなければならない。
・まだ今日発言していない人はいるか?
アイデアはリラックスしている状態から生まれます。
不要に人を萎縮させ、緊張感をもたせることに意味があるとすれば、発言が苦手な人というレッテルをはり、減点対象にしたいという点になります。
そこに、良いアイデアを出したい、良いアイデアを考えられる環境を作りたい、という思いはありません。
ただただその人を精神的に追い込み、しかもその追い込みが頑張るモチベーションになると信じているのです。
本来であれば、アイデアをだせるように工夫をすることが本質的な対応です。
例えば、「〇〇さんの観点から、△△についてどう思う?」など、フラットな位置からアイデアを求める態度をすれば、アイデアを出しやすくなる。それも事前に指示ではなく「お願い」をしておけばだいたいは意見をしやすい状態になります。
目標設定の方法で100%以上を求める
減点主義の組織は、楽をしていることを許しません。
業務の効率化や、手間を省くことを無意識に悪であると思っています。
業務を効率化して、作業自体を楽にすることに価値を見出していない(表面上は効率化を口にしていても)ので、定時内で頑張ることを、頑張っていると認めません。
いかに苦しんでいるか、自分を罰しているか、生活を犠牲にしているかというところを無意識に称賛します。
人のあら捜しばかりする。人を褒めない。
なにか良い点があっても、それを手放しで褒めることはせず、だめな部分を指摘しようとします。
たとえば、ある施策が良い結果を生んだ場合でも、
「でもこれはまだできてないよね」
などと、できていない部分を指摘します。手放しで褒めたり喜ぶことは本人のモチベーションを下げると考えるのが減点主義の考え方です。
例えば会社見学の際に、「誰かを最近褒めたことはありますか?」と質問してみましょう。
ブラック企業は共通して減点主義で成り立っている
無駄な残業、パワハラ、セクハラ、低賃金、過労、うつ病、その他ブラック企業としての特徴。
すべて根底には減点主義(ペナルティズム)が存在しています。
これは、特に日本では生まれたときから身近に存在するので、意識できないくらいに浸透しています。
まずは組織が減点主義でなりたっているという理解から始めると、なぜうつ病になっているスタッフがいるのか、何が人を追い込んでいるのかが見えてきます。
※追記 2018/11/25 22:00
ブラック企業は、経営者、および従業員双方が「減点主義」の元で無意識に共依存になっていることが原因です。組織の大小や創業年月とは無関係です。
経営者からすると、従業員のミスや失敗を強く・きつく指摘することで、目に見えない主従関係を構築することができ、コントロールしやくすなります。曖昧なルールの元であればなお良いです。詳しく言えば、何をすると減点されるかわからない。何をしたら「罰」を与えられるかわからない、という状態にすることで、従業員が勝手に自分たちを追い込んでくれるようになるからです。より大変な状況を自分で生み出せば、罰を与えられないだろう、と。
例えば、定時前に出社、定時後も残業しているという状態であれば減点されないであろう、「罰」を与えられないであろう、というように。しかし、それが当たり前になってくると、さらに苦しく大変なことはなんだろうと考え、どんどん追い込むようになります。
従業員は、組織の論理や力学をすぐに理解する人ほど、より減点志向の強い減点主義者になり、他のスタッフに対して「罰」を与える側になります。他者に対して減点することが、減点主義の組織では評価を上げる唯一の方法だからです。
それに対して、自分に厳しく、他者にやさしい人ほど、自分自身に対する減点主義者になり、自分の能力が低い、自分がダメだと、自分に対して罰を与えるようになります。それが日本企業に多く存在するうつ病の原因になります。
経営者と従業員、すなわち組織自体が減点主義であることが原因です。
電車に暗い顔をして通勤している人も、当然そうなってしまうことが理解できます。
よく日本人はモチベーションが低いと海外の方に言われますが、当然です。毎日、会社に罰を受けに行くのですから。
20、30代の若いうちは無理がききます。たとえ残業や精神的な圧力などがあってもたえることができてしまいます。
しかし、過剰な仕事のストレスやネガティブな発想という、他者や自身からの減点にさらされ続けると、体内にネガティブな毒のようなものを溜め込んでしまい、40、50代以降にさまざまな病気として発症します。
ミスや失敗を取り返しがつかないもの、または取り返すためにさらに負担をかけるような組織は、心身を壊す原因となります。
まずは減点主義の組織、ブラック企業を見分け、加点主義の組織であるかどうかを判断しましょう。
そしてまずは自身が加点主義となり、なにか実行することそのものがプラスである、減点主義の行動をやめ加点主義の行動、振る舞いをすることで、人生をポジティブなものにしていきましょう。
次は、加点主義を意識することについて投稿予定です。