減点主義者からのミッション
毎日ため息をつき、喫煙をする彼は喫煙所でもため息を繰り返していた。
何をするにも否定、ここでいう減点を周囲からされつづけていた彼は、ほとんどモチベーションがなくなり、ミスも膨大になっていた。
ほとんどモチベーションがなくなっていた彼に対して、彼の上司が提案したことは、新たなミッション。
それは、会社の飲み会を企画するというもので、会社の新人とチームを組み、彼にプロジェクトを推進することを覚えてほしいとのことであったが、ほとんどお遊戯のようなものだった。
さらには、ただ成功させてほしいという考えを伝えたのみで、具体的な指示や方向性などを伝えるわけではなく、とにかくそれをやれという命令のみ。何が成功かも不明。
ここまで人を見下したやり方があるのかと愕然とした。
なにかをお願い、依頼する場合は、本人の資質と方向性、やりたいことでやれることと近いかどうかを確認し、そこからお互い承認して初めて物事を進めることができる状態になり、その後で、どうやって進めるか、やり方を考えてもらうか、相談するか、アドバイスをするかというステップに移行することが最低限の準備になると思っていたところで、こんなやり方では、ただただ萎縮と思考停止になるだけである。
減点主義者の考えるモチベーションとは
減点主義者の考えるモチベーションとは、下記のことである。
「クリアすべき課題が与えられること」
他者に対して「成し遂げなければならない何か」を与えれば、それにむかってがむしゃらになるであろう、それこそがモチベーションである、と考えている。
その理論で考えれば、仕事や課題を与え続ければ、モチベーションはどんどんあがるということになる。
学校でいえば宿題。
とにかくこれをやれと命令すれば、それに向かってモチベーションがあがるだろう。
そして、それを成し遂げて初めて、人として認めてやろう。
ただ、減点主義者にとって100%の成功はないのです。
なぜか。
それが減点主義者の最大の問題の一つであります。
ペナルティストに100%の成功はない
会議などがある場合に一つ客観的に確認してほしいことがあります。
なにか成果があがったことの報告があった場合、それに対してのリアクションがポジティブ・肯定的なレスポンスを発信する人がいるかどうか。
素直にそれを感情的に称賛する人がいれば、そのひとは加点主義者:アディショナリストです。
それに対して、たとえ称賛してもなにかネガティブ、指摘を行う人は減点主義者:ペナルティストです。
実際はほとんどの人が無反応か、なにかあら捜しをして指摘をすることが多いと思います。
減点主義者:ペナルティストに100%の成功はないです。
その理由は、減点状態こそがモチベーションの源泉だと考えているからです。
なにか課題を抱えている状態こそがモチベーションがある状態で、手放しで称賛してしまっては、彼のためにならない、加点主義は罪悪と考えているからです。
とにかく減点することが善であり、彼の成長のためになると無意識下で信じているのです。
減点主義にさらされるとどうなるか
具体的な指示もなく、明確なゴールもなく、なかばお遊戯のようなミッションを与えられた彼がどうなったか。
結局あとからダメ出しを受け続け、相談する際も相談中に減点され、やることなすこと批判を受け続け、ついには相談することも萎縮し、さらに自信喪失。
「彼はやっぱり駄目だ」
と烙印を押されることに。
会社にいきたくない、暗い顔をして電車にゆられている方の中には、形は違えどこの状況に近いことがおきていると思います。
強く減点、強く批判を受け続け、自分はだめなんだとさらに思い込む。
パワハラやセクハラなども、もとをたどればこの「減点主義」にいきつきます。
いたることにはびこるこの「減点主義:ペナルティズム」が、昨今の日本の停滞、生産性の低下、モチベーションの低下など、あらゆる問題の原因であると考えます。
さらに減点主義について続きます。